真夜中に旦那のぬくもりを
旦那の優しさを感じるとき
夜中にふと目が覚めた。
物音がする。
あ、彼が帰ってきてまたなにやらごそごそしているんだな。
彼は飲んで夜中に帰ってくると私の寝室に入って来る、本当は起きているのに寝たふりをしているのは、変にからまれるのが嫌だから。
最近は専らリビングが寝床になっている彼は、大抵自分の着替えをクローゼットから取るとそのままリビングへ戻って行く。
たまーにベッドで寝ている私の頭に手を当てて「帰るの遅くなってごめんよ」だとか「一人で子供達を任せてごめんな」と優しい言葉をかけることがある。
寝たふりは続けるのだけど、少しだけ温かい気持ちになる。
そして私はまた眠る。
もしかしたら、私が寝ていて気づかない時にも言葉をかけているのかもしれないけど、彼は酔っているので、その記憶が翌日に残っているのかは私には分からないし、そう言えば私から聞いたことも無いな。
昨夜もいつものような物音で目が覚めて、帰ってきたのか...
と目を閉じたままぼんやり考えていた。
...
え!逮捕は?
いや、旦那のことだ、急に帰ってきたっておかしくはない。
まてまて、それはいくらなんでもおかしい、だとするとあの物音はなんだ?
泥棒か!?
すると、私が寝ているベッドのすぐ側で物音が聞こえた。
...
え!?
これが噂の心霊現象?
金縛りってやつ?
それまで寝ぼけていた頭が一気に目覚めた。
おそるおそる目を開けると、誰もいない。
体は動くから金縛りでもなさそうだし。
ベッドの側に手を伸ばすと。
なにかある。暗くてよく見えないが…
...
なんだ。
娘がベッドから落ちてそのまま私のベッドの側で寝ていた。
どこまでが夢で、どこまでが現実だったんだろう。
そして私と彼はいつからベッドで一緒に寝なくなったんだったっけ。
考えてみたけど、思い出せなかった。